中毒性表皮壊死症の鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  9月10日

更新日:2021年 11月 8日

本日は中毒性表皮壊死症について解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 中毒性表皮壊死症とは
  • 中毒性表皮壊死症の原因
  • 中毒性表皮壊死症の症状
  • 中毒性表皮壊死症の改善方法
  • 中毒性表皮壊死症のまとめ
足のしびれ、痛み

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

中毒性表皮壊死症は、重症多形滲出性紅斑と呼ばれる疾患群の一つ

中毒性表皮壊死症は、高熱や全身倦怠感などの症状と、体全体に紅斑や水ぶくれ、ただれが広い範囲に現れる病気です。ライエル症候群と呼ばれることもあります。

 

重症多形滲出性紅斑と呼ばれる疾患群の一つで、中毒性表皮壊死症のほとんどは、スティーブンス・ジョンソン症候群の症状が進むことで起こります。

 

適切に改善を行うことで回復します。しかし、敗血症や多臓器不全などを引き起こすと命に危険が及ぶこともあります。

 

男性でも女性でも発症する可能性があり、発症する年齢も小児から高齢者まで様々です。

中毒性表皮壊死症の詳しい原因はわかっていない

中毒性表皮壊死症の詳しい原因はわかっていません。現在考えられていることは、薬や感染症がきっかけで、皮膚や粘膜に病変が起こって発症しているということです。

 

きっかけとなる薬で多いのは消炎鎮痛薬や抗菌薬、抗けいれん薬などで、きっかけとなる感染症で多いのはイコプラズマ感染症やウイルス感染症です。風邪薬などの市販薬がきっかけになることもあります。

 

中毒性表皮壊死症は、遺伝することはありません。しかし、最近では、ある特定の薬がきっかけで起こる病気は、特定の遺伝的な体質を持っている場合は発症しやすくなるということがわかってきています。

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis、TEN)は非常に深刻な皮膚の病気で、一般的には薬物反応の結果として起こります。TENはスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)のより重症の形態と見なされ、両者はしばしば同じスペクトラムの一部として説明されます。原因の理解と、その予防がTENの発生率と死亡率を低下させる重要な鍵となります。

 

薬物による反応

 

TENの最も一般的な原因は特定の薬物の服用によるものです。最も頻繁に関連性が報告されている薬物は、抗菌薬(特にスルファ薬、ペニシリン)、抗痙攣薬(カルバマゼピン、フェニトイン、ランピトリジン)、アロプリノール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗レトロウイルス薬等です。

 

これらの薬物がTENを引き起こす具体的な機序はまだ完全には理解されていませんが、一部の研究では、これらの薬物が免疫系によって誤認識され、自己の細胞を攻撃する自己免疫反応を引き起こすという仮説が提唱されています。

 

感染症

 

まれに、特定の感染症がTENを引き起こすことがあります。この中には、HIVやマイコプラズマ肺炎などが含まれます。これらの感染は、免疫系の異常な反応を引き起こし、皮膚細胞の壊死を引き起こす可能性があります。

 

遺伝的素因

 

一部の人々は、特定の薬物に対する反応を引き起こす遺伝的傾向を持つことがあります。例えば、特定のHLA(ヒト白血球抗原)タイプを持つ人々は、特定の薬物に対する反応のリスクが高くなることが知られています。この遺伝的な傾向は、特定の人々がTENを発症するリスクが他の人々よりも高い理由を説明する一部かもしれません。

 

 

 

中毒性表皮壊死症の主な原因は薬物反応であり、これは特定の薬物を服用した後に発症することが多いです。稀に、感染症や遺伝的素因が関与することもあります。

中毒性表皮壊死症の症状は、高熱や倦怠感などと皮膚や粘膜の病変

中毒性表皮壊死症の症状は、高熱や喉の痛み、全身の倦怠感、食欲の低下などです。同時に皮膚や粘膜には病変が現れます。

 

皮膚に現れる症状は、紅斑や水ぶくれ、びらんです。紅斑や水ぶくれやびらんは体の全体にたくさん現れます。紅斑の大きさはさまざまで、水ぶくれはすぐ破れてびらんになります。

 

口唇や口腔粘膜、鼻粘膜には痛みのある発赤、びらんが現れます。結膜が充血したりめやにが出ることもあります。尿道口や肛門の周りにもびらんが起き、場合によっては痛みがあったり出血が起きたりすることもあります。

 

皮膚や粘膜の病変は非常に進むスピードが早いため、症状が急激に悪くなり重篤な状態になることもあります。

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)は皮膚と粘膜の重篤な病気で、広範囲の皮膚が壊死して剥離することが特徴です。その症状は非常に重篤で、時には生命を脅かすこともあります。以下に、この病気の主な症状について詳しく説明します。

 

皮疹と皮膚の剥離

TENの最も目立つ症状は皮膚の剥離です。これは通常、赤い皮疹の出現から始まります。皮疹は全身に広がり、しばしば水疱や浸潤を伴います。その後、広範囲の皮膚が壊死し、痛みを伴って剥離します。これはしばしば2〜3日以内に進行し、場合によっては全身の80%以上の皮膚が影響を受けることもあります。

 

粘膜の症状

TENは、口、目、尿道、性器、肛門などの粘膜も影響します。これらの部位では、潰瘍やエロージョンが形成され、食事や視力、排泄などの日常的な活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

全身症状

TENは全身性の病気であり、全身症状も引き起こします。これらには、発熱、倦怠感、関節痛、筋肉痛などが含まれます。また、皮膚の広範囲が剥離すると、体液と電解質の失調、感染症、体温調節障害など、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

 

重篤な合併症

TENは、その重篤な症状と広範囲な皮膚の剥離から生じる合併症のため、生命を脅かす可能性があります。これらの合併症には、感染症、敗血症、呼吸器や消化器の問題、腎不全やその他の器官の機能不全などが含まれます。

中毒性表皮壊死症の主な改善方法は、副腎皮質ステロイド薬

中毒性表皮壊死症の主な改善方法は、副腎皮質ステロイド薬です。

 

中毒性表皮壊死症では、皮膚や粘膜の症状とともに肝臓や腎臓などの様々な臓器にも障害が起こります。そのため、その人の状態に合わせて副腎皮質ステロイド薬を使うことが大事です。

 

改善のために、短い期間で多くの副腎皮質ステロイド薬を点滴することや、 免疫グロブリン製剤をたくさん投与すること、血漿を入れ換えることもあります。

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)は皮膚と粘膜の病状で、広範囲の皮膚が壊死し剥離することを特徴とします。その改善方法は、緊急事態として扱われ、広い範囲での対処することが必要となります。以下にその改善の方針について詳しく説明します。

 

TENは、急性で全身性の病気であり、その症状は生命を脅かす可能性があります。したがって、全員ICUまたは熱傷専門施設にて改善を受けるべきです。このような施設では、病状の進行を監視し、体液と電解質のバランスを維持し、感染症のリスクを管理することが可能です。

 

TENの改善の基本的な要素は、広い範囲で対処することです。これには、疼痛管理、栄養補給、皮膚のケアが含まれます。また、皮膚の剥離による液体と電解質の喪失に対する補給や、感染防止のための抗生物質の投与も行われることがあります。

 

免疫抑制薬

 

TENの原因となる薬物を停止すると共に、免疫系の過剰な反応を抑制するための薬も行われることがあります。これには、ステロイドや免疫グロブリンが使用されることがありますが、これらの改善方法の有効性は確立していません。

 

創傷ケア

 

TENは、大部分または全体の皮膚が剥離してしまうため、熱傷と同様のケアが必要となります。これには、保湿剤や生体適合性のドレッシングの使用、正常な皮膚温度の維持、感染症の予防などが含まれます。

 

眼科、口腔科、泌尿器科のケア

 

TENは、目や口、尿道などの粘膜にも影響を与えるため、これらの領域の専門的なケアが必要となります。これには、人工涙液の使用や口腔保湿、カテーテルの挿入などが含まれます。

きっかけが薬の場合はきっかけとなった薬をわかるようにしておく

薬を飲んでいる時に、高熱や口唇や口腔のびらん、眼の充血、皮膚の広い範囲への紅斑が起こった時は、中毒性表皮壊死症の可能性があります。病院に相談に行くことをお勧めします。

 

薬がきっかけで中毒性表皮壊死症を発症した場合は、きっかけになった薬をきちんとお薬手帳などに記入して、病院などでは医師に伝えることが大切です。

中毒性表皮壊死症の改善例

中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)の実際の改善例については、可能性のある改善方針を説明します。

 

40歳の女性が、抗生物質の服用後に皮疹が出始め、次第に広がりを見せた。彼女は高熱を出し、病院に行きTENの判断が下された。

 

彼女が最初に行った病院で、医師はまず彼女が服用していた薬物を止めることを指示しました。これはTENの原因となる可能性のある薬物を排除するためです。次に、彼女はICUに入院し、全身の状態を密接に監視することとなりました。

 

ICUにて、彼女の体液と電解質のバランスを維持するために、静脈内に輸液が開始されました。また、皮膚の壊死と剥離が進行していたため、感染防止のための抗生物質が投与されました。彼女は痛みを訴えていたため、適切な鎮痛剤も投与されました。

 

皮膚のケアとしては、彼女の皮膚は熱傷のケアのように、保湿剤や生体適合性のドレッシングで保護されました。そして、正常な皮膚温度を維持し、感染を防ぐための処置が行われました。

 

彼女の目や口、尿道も影響を受けていたため、眼科、口腔科、泌尿器科の専門家によるケアが必要でした。人工涙液や口腔保湿剤が使用され、必要に応じてカテーテルが挿入されました。

 

彼女の改善は週単位で進行し、TENの症状はゆっくりと改善されました。彼女は途中で軽度の感染症を発症しましたが、迅速に抗生物質で対応されました。幸いにも、彼女は生命を脅かすような合併症を発症することなく、数週間後にはICUから一般病棟へと移され、さらにその後、退院となりました。

 

このケースは一例であり、TENの症状や経過は個人によって大きく異なる可能性があることを理解してください。

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