持続性知覚性姿勢誘発めまいの鍼灸【原因・定義・症状】

公開日:2021年  4月23日

更新日:2024年  4月 1日

本日は持続性知覚性姿勢誘発めまいについて解説させていただきます。

☆本記事の内容

  • 持続性知覚性姿勢誘発めまいとは
  • 持続性知覚性姿勢誘発めまいの原因
  • 持続性知覚性姿勢誘発めまいの症状
  • 持続性知覚性姿勢誘発めまいの改善方法
  • 持続性知覚性姿勢誘発めまいのまとめ

銀座そうぜん鍼灸院の宗前です。

このページを書いている私は、鍼灸師として13年、担当した利用者様数80,000人を誇り、病気の休職者300人を社会復帰できるまで回復させてきた実績があります。

 

持続性知覚性姿勢誘発めまいは、新しく概念が定義された新しいめまい

持続性知覚性姿勢誘発めまいは、PPPDとも呼ばれているめまいで、2017年に新しい種類のめまいとして新たな概念が定義されました。

 

持続性知覚性姿勢誘発めまいでは、3ヶ月以上フラフラする感覚が続きます立った時や歩く時、動くものや細かいものを見るとフラフラする感覚がひどくなるという特徴があり、多くは、メニエール病や突発性難聴などめまいの症状を起こす急性の病気が落ち着いた後に起こります。

 

耳鳴り、難聴がある人は、めまい症状を併発している人が非常に多いです。当院では、持続性知覚性姿勢誘発めまいで悩んでいる人は1日40人ほどの来院があります。

 

中でも、その1割の人がめまいやメニエール病、良性発作性頭位めまい症を発症しています。

持続性知覚性姿勢誘発めまいは、めまいを起こす病気と合わせて起こる

持続性知覚性姿勢誘発めまいは、めまいを起こす耳の病気や神経の病気、内科的な病気と合わせて起こることが多いです。さらに、心理的なストレスで起こるめまいや平衡障害が起こった後に起こることも多いです。

 

目眩を起こす耳の病気の代表的なものは前庭神経炎です。前庭神経炎が起こった後に起こることが多いと言われています。

 

心理的なストレスや平衡障害によるめまいが起こった後に起こることも多いため、うつや不安症の人にも起こることが多いと言われています。

持続性知覚性姿勢誘発めまいの発生に寄与する可能性がある要因

・感覚統合の失敗

多感覚入力の処理異常:視覚、前庭系、体性感覚の間での情報の不適切な統合が、PPPDの発症に関係している可能性があります。

前庭系と中枢神経系の不適切な相互作用:バランス感覚を司る前庭系と脳の間の通信がうまくいかないことが、めまいやバランスの問題を引き起こす可能性があります。

 

心理社会的要因

不安やストレス:PPPDの人は、不安障害やうつ病を持っていることが多く、これらの心理社会的要因が症状の発症や悪化に寄与することがあります。

適応障害:急性のめまいのエピソードの後、体が通常の感覚入力の処理に適応するのに失敗することが、PPPDの一因となる可能性があります。

 

脳の機能変化

脳の処理機能の変化:前頭前野や小脳などのPPPDに関連する脳領域の活動パターンの変化が示唆されています。

神経可塑性の問題:神経系の適応能力に関連した問題も、PPPDの原因の一つとして考えられています。

 

遺伝的要因

家族歴:PPPDや他の種類のめまいを経験した家族がいる場合、遺伝的要因が関与している可能性があります。

 

環境要因

環境トリガー:強い光、動く画像、混雑した場所など、特定の環境要因がPPPDのトリガーとなることがあります。

持続性知覚性姿勢誘発めまいの特徴は3ヶ月以上症状が続くこと

持続性知覚性姿勢誘発めまいでは3ヶ月以上、ふわふわとした浮遊感や不安定感、非回転性のめまいの中で1つ以上の症状が続きます。この症状は、ほとんど毎日起こり、日常生活に大きな影響を与えます。

 

症状は、長い時間続き、症状の強さは強くなったり軽くなったりするという変化があります。

持続性知覚性姿勢誘発めまいの症状が強くなる時
  • 立位姿勢になった(立った時や歩いた時の姿勢)時
  • 身体を動かした時
  • 視覚刺激があった時

〈身体を動かした時に症状が強くなる傾向の例〉

・エレベーターに乗った時

・乗馬体験をした時

人ごみに押された時

 

〈視覚刺激があった時の例〉

・人混みや往来する車などの動いているものを見た時

・スーパーやコンビニで陳列棚を見た時

・コンピュータなどの複雑な視覚パターンを見た時

持続性知覚性姿勢誘発めまいで起こる一般的な症状

不安定感やふらつき:特に広い場所や人が多い場所、動いている物体を見る時などに、ふらつきやバランスを失う感覚が現れます。

 

立位時の不快感:立っている時に特に不安定さを感じ、座っている時や横になっている時は症状が軽減することがあります。

 

視覚的な刺激に対する過敏性:動く画像や強い光、パターンが密集した表面など視覚的な刺激に敏感になり、これらがめまいや不安定感を誘発することがあります。

 

集中困難:持続的な不安定感やめまいが原因で、日常生活や仕事、学業での集中が困難になることがあります。

 

疲労感:症状によって日常生活に支障が出ることから、疲労感を強く感じることがあります。

 

立ちくらみ:急に立ち上がった時にめまいを感じることがありますが、これはPPPDの症状とは異なり、起立性低血圧など他の原因によることもあります。

 

他にも、めまいや不安定感が原因で不安やうつ症状を発症したり、緊張型頭痛や偏頭痛を併発したりすることがあります。

持続性知覚性姿勢誘発めまいには、確立された改善方法は今のところない

持続性知覚性姿勢誘発めまいには、確立された改善方法は今のところありません。改善をするために重要なキーワードは、前庭リハビリと抗うつ薬、認知行動です。

 

前庭リハビリは、内部の感覚に対して刺激を与えてめまいへの順化を促す改善方法で、バランス感覚を改善するための特定のエクササイズを行います。この方法では、前庭系の機能を促進し、めまいや不安定感の軽減を目指します。

 

前庭リハビリでの改善は、効果を感じるまでに最低でも数ヶ月かかると考えることが必要です。安定した立位や歩行を促すためのトレーニングも併せて行います。

 

症状が一進一退する場合も多いということを理解し、改善を行うことが必要です。これは、前庭リハビリを行うことによってめまいを誘発させて症状が悪化するという可能性も考えられるためです。

認知行動を利用した改善方法は、バランスの良い適応的な考えを作って気持ちを楽にするという精神に対して働きかける改善方法です。めまいに対する恐怖や不安、避けがちな行動パターンを変えることを目指します。また、ストレス管理技術の向上にも役立ちます。

 

さらに、深呼吸、瞑想、筋弛緩法など、ストレスを軽減しリラックスを促進する技法も有効であることがあります。

 

持続性知覚性姿勢誘発めまいの人の中には、色々な病院に相談に行き自分の訴えが信じてもらえなかった失望と不信感を持っている人も多くいます。

 

持続性知覚性姿勢誘発めまいの改善を行うために必要なことは、信頼関係です。きちんと信頼できる医師を見つけることが大事になるのです。

 

持続性知覚性姿勢誘発めまいは、改善に取り組まなければ症状がよくなることはあまりありません。できるだけ早めに病院に相談に行き、信頼できる医師のもとで改善に取り組むことをお勧めします。

他にも、症状管理のための教育も役立つことがあります。自分自身で症状について理解し、日常生活での対処法を学ぶことが重要なのです。

 

さらに、同じ状態を持つ他の人々との交流も改善につながります。交流を通じて、経験を共有し、相互にサポートを提供することができます。

 

改善には、環境の調整も重要です。特に過度な視覚的刺激は症状の悪化につながるため、避けることで症状の悪化を防ぐことができます。

改善に使用する薬

・抗不安薬

抗不安薬は、PPPDに伴う不安症状を管理するために使用されます。多くの場合、めまいや不安定感が不安やパニック発作を引き起こし、これがさらにめまいを悪化させるという悪循環に陥る場合に処方されます。抗不安薬は、このような不安のレベルを下げ、快適さを向上させることを目的としていますが依存性があるため、短期間の使用や医師の厳格な監督下での使用が推奨されます。

 

・抗うつ薬

セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs):抗うつ薬は、PPPDによって引き起こされるうつ病の症状や、うつ病がPPPDの症状を悪化させる場合に使用されるもので、セロトニン再取り込み阻害薬は不安症状を含む広範な症状に効果があるとされています。そのため、気分を改善し、生活の質を向上させるためにしばしば使用されます。抗うつ薬は、めまいやバランス障害に対して感受性を減少させることによって、症状の管理に役立つことがあります。

 

ベタヒスチン

ベタヒスチンは、メニエール病やめまいの改善に一般的に用いられる薬物で、PPPDにおいても有効であると考えられています。ベタヒスチンは、内耳の血流を改善することにより前庭機能を正常化し、めまいの感覚を減少させるとされています。特に前庭系の異常が疑われる場合や、めまいの症状が顕著な場合に使用されることがあります。しかし、ベタヒスチンの効果は個人差が大きいため、改善方法の一環として慎重に検討されます。

 

・抗めまい薬

プロクロルペラジンやメクリジン:これらはめまいの感覚を減少させることができる薬物で、特に急性のめまいのエピソードに対して用いられます。長期的な使用は推奨されていませんが、短期間での症状のコントロールに役立つことがあります。

 

ベンゾジアゼピン類

ディアゼパムやクロナゼパム:これらは短期間の使用に限定されることが多い抗不安薬で、急性の不安症状やパニック発作に対して有効です。めまいや不安定感を引き起こす過剰な神経活動を抑制する効果があります。ただし、依存性や耐性の発展のリスクがあるため、慎重な管理のもとで使用されます。

 

抗精神病薬

クエチアピンやオランザピン:これらは主に精神病の改善に用いられますが、非常に低い用量で不安症状の管理に役立つことがあります。PPPDにおける過剰な不安やうつ病の症状に対して、他の方法が効果を示さない場合に考慮されることがあります。

 

抗てんかん薬

ガバペンチンやプレガバリン:これらは本来てんかんの改善に用いられる薬物ですが、神経痛の改善や不安症状の管理にも有効であり、PPPDにおいても症状の緩和に役立つことが報告されています。

 

ベータ遮断薬

プロプラノロール:これは心臓病や高血圧の改善に使われることが多い薬物ですが、手の震えや心拍数の増加などの物理的な症状に伴う不安を軽減する効果があります。PPPDにおける身体的症状による不安感の管理に有効な場合があります。

めまいを感じたらやってはいけないこと9選

めまいのある人は、やってはいけないことを行ない悪化して来院する人が多いです。

めまいの症状を感じた時には避けるべき行動があります。ここでは、その避けるべき行動9つを説明します。

① 首のストレッチ

頭の急な動きや許容範囲を超えた動かし方は避けましょう。首の大きなストレッチにより、内耳の圧力が変動し、めまい症状が悪化することがあります。

 

めまいは内リンパ浮腫とも言われ、耳の奥の内耳が浮腫んで起きている症状です。首をぐりぐり動かすと内耳の中の三半規管がより動いてしまうため、めまいがひどくなってしまいます。

 

② ストレスを溜めない

精神的ストレスや肉体的ストレスもそうですが、ストレスを溜め込んでしまうと症状が悪化しやすいです。ストレスがかかると体がストレスに対抗しようとして交感神経という自律神経が高まります。

 

交感神経が高まることで体の毛細血管がぎゅっと収縮してしまうため、耳の奥に走る迷路動脈も細くなり、メニエール病の原因である内リンパ浮腫が起こります。内耳が浮腫んでいるため、循環が悪くなると改善しにくくなってしまうのです。

 

瞑想、運動、リラックスなどストレスのコントロールを行いましょう。

 

③ 大量の水分を短時間で摂取すること

短時間で大量の水分を摂取すると、体内の水分バランスが崩れ、眩暈が起こりやすくなります。めまいは内リンパの浮腫で起こりやすくなるため、極端な水分摂取は控えましょう。

 

④ チーズや赤ワイン、チョコレート、ソーセージなどの加工肉の摂りすぎ

塩分と砂糖の取りすぎを控えることが大事です。塩分と砂糖の摂取量が増えると体はどんどん酸性になります。

 

人間の体は本来弱酸性のため、酸性に傾くと、水分をとって希釈しなければいけなくなり、どんどん水を溜め込もうとするようになります。

 

しょっぱいものや甘いものを食べると水が欲しくなりますが、水を摂取しすぎると浮腫が起き、耳の中も浮腫んでしまい、眩暈症状がひどくなるのです。そのため、水分の摂取量には注意が必要です。

 

⑤ 喫煙とカフェイン

喫煙をしたりカフェインを多量に摂ってしまったりすると、耳の中の血管が収縮してしまいます。できれば摂り過ぎはやめましょう。

 

⑥ 長時間のデスクワーク

長時間のデスクワークは眼精疲労を起こし、眩暈症状が強くなることにもつながります。めまい症状がひどくなるのは、長時間デスクワークをすると首の前側の筋肉が貼らざるを得なくなるためです。

 

首の水分循環は全部顔から首の前側を通って流れているため、首の前側が硬くなるとどんどん浮腫んできます。メニエール病で悩んでいる人はわかると思いますが、パソコンをするとふわふわしてきます。

 

人によっても症状は違いますが、デスクワークなどで目を使いすぎると、めまいの原因になるため首の前側はしっかり緩めることが大事です。デスクワークをし過ぎたときは首の前側は必ずほぐしましょう。

 

長時間パソコン作業をすると首の後ろ側も凝ってきやすいです。内耳に栄養などの循環をよくする迷路動脈という血管があり、その血管の本流は椎骨動脈という血管です。

 

椎骨動脈という血管は首の後ろを通っているため首の後ろも緩める必要があるのです。首の前と後ろの筋肉を定期的にほぐすことで目眩も改善しやすく、ひどくなりにくいです。

 

⑦ 過度な運動

スポーツ好きな方に多いのですが、循環が悪いために一生懸命運動してしまう人がいます。しかし、運動により三半規管が刺激されて眩暈が悪化することがあります。

 

めまいは耳の中の水分バランスで浮腫んでいるために起きてしまう症状ではありますが、無理に運動するよりは有酸素運動のような優しい負荷の方が経過は良いです。軽い運動に止めておくことが大事で、理想はウォーキングやランニングです。

 

⑧ 騒音の多い環境

大きい音は内耳に影響を与えます。結果的に三半規管にも影響を与えるため、パチンコやカラオケのような大きい音がなる場所はなるべく避けましょう。

 

⑨ 睡眠不足

睡眠不足を避けて規則正しい睡眠リズムを作ることが大事です。体は睡眠中に変化していきます。変化する割合が少なかったり変化する時間が短かったりすると、良い方向に向かっていきません。

 

睡眠の時間と量は必ず意識しましょう。夕食は腹7分目にとどめておき睡眠の3時間前にとり、できれば静かな場所で7時間睡眠を心がけましょう。

9つのポイントに注意し、症状を管理することで症状の悪化を防ぐことができ、うまくいけば自分で改善することができます。

 

日々の小さな努力がより良い生活の第一歩になるのです。

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